■自己紹介をお願いします。
DJ Smallz a.k.a. Mr. Southern Smokeだ。No.1サウスDJだってみんなに言われてる。『Southern Smoke』Mix CDシリーズが俺の存在を大きくした作品だ。15歳でDJを始めて、このシリーズは18歳で始めたんだ。ちなみに、この間誕生日を迎えて21になったよ。産まれは横須賀のベースで、フロリダに3歳のときに引っ越したんだ。父親はアメリカ人で、母親が日本人。今はフロリダのタンパに住んでいる。
■日本の印象は?
今回がある意味での初来日だから、とにかくエキサイトしてるよ。銃やドラッグ、酔っ払い運転の心配が少ない日本は本当に良い国だよな。どこ行ってもクリーンだしな。
■DJになったきっかけは?
15歳のときに、趣味として始めたんだ。ターンテーブルや機材を買うためにとにかく貯金したね。大学の費用を稼ぐために最初はクラブDJになろうと思ったんだ。普通にバイトするより、クラブDJは儲かるからね。クラブのオーナーにデモを聴かせたら、その場で雇われたんだ。サウスのアーティストのみを集めたデモだったな。それからそのデモを友達に配ったりしてたら、とにかく評判が良かったんだ。サウスアーティストだけのMix CDはイケるって確信したね。それが、『Southern Smoke』の始まりだよ。最初のMix CDをリリースしたときの反応は凄かったな。クラブでの3年間の経験が、アングラでの成功に繋がってるんだ。だって、今は日本でセットするようになったんだぜ!
■最初に買ったレコードは何ですか?
イーストコーストのアーティストだったと思うんだけど、誰だったかな。確かRun DMCだったと思う。
■今でもそのレコードを使ってますか?
今は、CDでDJしてるんだ。
■レコードからCDへ移行したのはいつですか?
15歳でDJを始めてから19歳まではレコード派だったんだけど、だんだんCDJが主流になってきたんだ。だから、俺もCDに移行したってわけ。重たいレコードを運ばなくてもいいから、腰の調子がいいよ(笑)
■サウスのHip Hopシーンがかなり盛り上がっていますが、何故だと思いますか?
サウスのHip Hopっていうのは、アングラでは常に存在していたんだ。メインストリームの音にみんなが飽き始めて、アングラを掘り始めたらサウスミュージックが発見されたって訳だよ。時代はとにかくサウスだな!
■サウスのHip Hopと他の地域の違いは?
俺たちは誰も真似できないスタイルを貫いてるを思うよ。ライフスタイルの違いもあるし、どこよりもベースが効いていて力強い音だろ。同時に楽しい雰囲気でもあるんだ。それがクランクだ。イーストコーストの音はシリアスすぎるだろ。俺たちも必要に迫られればシリアスになれるけど、普段はチルしている感じなんだ。そこが他との違いだ。
■サウスのアーティストでは、Trick Daddyが個人的にお気に入りなのですが、Trick Daddyの最近の動きは?
今のシーンはTrick Daddyィの世代とはちょと違ってるんだ。アトランタは南部のニューヨークと位置付けられていて、今のサウスのシーンはアトランタが中心なんだ。90年代に流行ったマイアミやニューオリンズもまだまだ盛んだけどな。
■マイアミベースのことですか?
その通り。マイアミベースだよ。Trick DaddyやTrina(トリーナ)のような90年代に流行った音だよ。21世紀の今は、ヒューストンも要注目だな。でも、マイアミの音は違う形でカムバックするとおもうよ。
■なぜマイアミがカムバックすると思うのですか?
Trick Daddyは最近おとなしくしていただろ。彼は、新しい素材をたくさん集めていたんだ。先週、Trick Daddyに新譜のレコードを貰ったんだけど、とにかくスゴイことになってたよ。詳しくは言えないけど、みんなが知ってるTrick Daddyとは全く違うネクストレヴェルな作品でカムバックしてくるよ。マイアミのRick Rossも名前が売れて来ているし、マイアミはまた流行の中心になって来ると思うね。
■注目している新人アーティストは?
Rick Rossだろ、アトランタ出身のYoung Dro、あとはヒューストン出身のChamillionaireの3人だな。
■他のエリアのアーティストは?
俺はサウスのアーティストにフォーカスしてきたから、他のエリアのことはよく知らないんだ。でも、カリフォルニアはE-40がベイエリアっぽい音で、おもしろい動きをしてると思うよ。
■E-40といえばLil Jonとコラボレートしていましたよね?
そうそう。Lil Jonのレーベルと契約するらしいよ。もちろんウエストコーストのアーティストとしてな。Lil Jonがプロデュースした”Tell Me When To Go”みたいな感じの、Lil Jon特有のファットなビートのスタイルだ。とにかくサウスミュージックとライフスタイルは、色な形でMixされて今じゃ全国区だ。
■DJとして印象に残る出来事は?
色んな人に会うことが出来て、予想もしてなかった国を訪れることが出来ているって事かな。あとは、父親の軍仲間がイラクに送られているんだけど、彼らが俺のMix CDを毎日聴いて地元を思い出してるって聞いたときは本当に嬉しかったね。
■父親もあなたを誇りに思ってるでしょうね。
とってもね。とにかく日本でサウスミュージックがこんなに流行ると思わなかったよ。
■影響を受けたアーティストは?
お気に入りのアーティストは何人かいて、Outkastだろ、T.I.
■T.I.は先日インタビューしましたよ。
あ、本当に?どうだった?
■インタビュー疲れしてる感じでしたね。
(笑)T.I.はリリシストとして好きなんだ。あとは、Scarfaceだろ。Trick Daddyも勿論大好きだな。マイアミの音はいつでもホットだよ
■ゴーストタウンDJって覚えてますか?
いたね~。でも俺の前の世代になるから、よく知らないんだけどね。マイアミベースはとにかくカムバックしてくるぜ! 例えばCiaraがフィーチャーされてるField Mobの『So What?』なんかもベースの音は深くないけど、ビートの速さなんかはマイアミベースを思い出させるよ。ビートの速さを変えてマイアミベースはカムバックしてくるぜ。
■今後の予定は?
今後は、新しいシリーズをリリースすることかな。レーベル名はまだ言えないけど、2社のメジャーレーベルからオファーされているんだ。来月までには、1社を選んで契約する予定だ。『Southern Smoke』ブランドが3年でこんなに大きく育っているから、今後はもっとそれをフィーチャーして行こうと思っているよ。
■他のシリーズを展開していく予定はありますか?
もちろん。『Fear Factor』っていう新しいシリーズを企画中なんだけど、このシリーズは新人アーティストにフォーカスするコンセプトなんだ。今までのは、メジャーなアーティストのクオリティの高い作品や、エクスクルーシブな楽曲に焦点を当ててたけど、新シリーズは”次の才能を見つける”的な感じなんだ。あと2ヶ月でリリースの予定だ。『Southern Smoke』は独自にネクストレヴェルに持ち上げていく予定だし、『Southern Smoke』としてTV番組も始まる予定なんだ。ラジオ、Mix CD、そしてTVと多面的に拡張していこうと思っているよ。シーンの裏側なんかも見れると面白いだろ。TV番組にメジャーレーベルからのリリースに、今後の大きな動きだな。
■メジャーなレーベルと契約した際は、プロモーションで色んな国に行くことになりそうですね。特に行ってみたい国はありますか?
日本にはまず帰ってきたいね。日本は僕のルーツでもあるし、母方の親戚はみんな日本に住んでいるんだ。他の国には無いヴァイヴスを感じるしね。もちろんヨーロッパにも行きたいと思ってる。ドイツ、フランス、イギリス、あとはオーストラリアでもサウスミュージックは人気だし、カナダもスゴイことになっていたな。
■今回、日本のプロモーターとはどうやって知り合ったんですか?
『Southern Smoke』のツアーを企画していたときに電話をもらったんだ。その時点で、オーストラリアが決まっていたんだけど、航空券のトラブルで日程を調整しなくちゃいけなくなって、空きが出来たんだ。日本がオファーしてきた日とその空きがうまくマッチして実現したってわけさ。来月は、ロンドン、スイス、オーストラリアとシンガポールを回る予定だよ。
■シンガポールのHip Hopシーンもかなり盛り上がっていますよね。
まだ行ったことが無いんだけど、スゴイって聞いているよ。
■洋服のブランドなんかを始める予定は?
全然ないね。俺はもっとメディアとリンクして『Southern Smoke』を成長させたいんだ。エクスクルーシブな音源をもっと増やして、人が新しいモノを求めている時に、『Southern Smoke』を買えば間違いナイ!みたいな感じになるのが理想だな。あんまり音楽とは関係なく展開させると、ブランドを傷付けることになるからな。
■そうですね。色々とやり過ぎるとみんな困惑しますからね。
そういうこと。だから、原点を忘れずって事だよ。みんなが求めてくれる限りMix CDは続けていく予定だよ。モチベーションを保つ秘訣でもあるしな。『Southern Smoke』ナシでは、ラジオの仕事や日本でスピンする機会も無かったからな。だから、自分を押し上げてくれたルーツに還ることは大事だと思っているよ。
■ちなみに好みの女性のタイプは?
ラテン系のコかな(照)
(ちなみにガールフレンドはプエルトリカンで、ツアーにも同行してました!)
Interview & Text : sassyism