前回に引き続き、今回のコラムは『Love and Hip Hop』(制作/放送VH1)シリーズのシーズン3&4をご紹介。同番組のスタート時からショーを牽引していたJim Jones & Chrissy カップルが卒業し、それに伴いキャストの大半が入れ替わりスタートを切ったシーズン3、さらなる編成が施されたシーズン4、意外なアーティストが参戦しまくりで、想定外のドラマが満載!
血みどろのキャットファイト(笑)が強烈な印象を残した前シーズンから、キャストの大半が入れ替わりスタートしたシーズン3。Jim Jones & Chrissy カップルの卒業に伴い、”Mama”JonesやEmily B.は、二人のスピンオフ番組『Chrissy & Mr. Jones』に異動し、Somayaはフェードアウト。ボコられまくったKimbella嬢は、今シーズンではゲスト出演に留まり、メインキャストからは離脱。(ボコられ損!笑)シンガーのOliviaは、エアタイムは減ったものの、一応ステイ。裏方勢=Rich DollazとYandy Smithも前シーズンに引き続きキャスティングされ、また、”アイキャンディ”な容姿を楯に、イケイケなアティデュードで強烈な存在感を誇示したErica Menaはメインキャストに昇格。
(『LOVE AND HIP HOP』シーズン3 ティーザー)
さて、上記のようなキャストの入れ替えを知らずして、視聴し始めたシーズン3。Jim Jonesの後任とも言える”ラッパー枠”に期待を寄せていた私の思惑は、エピソード1でいきなり打ち砕かれることに。3流男性ストリッパーの休日かのような出で立ちで登場した男性キャストに「何だか気持ち悪いのが出て来たなー」と思っていたら、彼こそ”ラッパー枠”の一人、お久しぶりのJoe Budden! (ひぃぃぃぃ!)やたらめったら何にでも口を挟む”おばちゃん”的な言動が目に付くJoeを取り巻く女性陣は、元恋人のTahiry Joseと現恋人のKaylin Garcia。Joe BuddenはKaylinと同棲しているものの、何かにつけてTahiryにちょっかいを出し、そして、そんな状況を(悩んでいる風を装いながらも)楽しんでいる様子のTahiryに「コレジャナイ」感を覚えてしまう。自分と向き合うという名目で、Tahiryは自身のルーツであるドミニカ共和国へ向かい、何故かそこにJoeも帯同していて”友達”として一緒にステイしたりと、視聴者のインテリジェンスを試すかのような展開にも不・快・感。Joeの限りなく黒に近いグレーゾーンの行動を目の当たりにしながらも、彼を信じてバックアップし続けるKaylinは、まさに「恋は盲目」状態。Joeには良い意味で(視聴者を)裏切って欲しいと、一抹の期待を抱いてもみるが、そんなコトは起こるハズもなく、二人の関係終焉へのカウントダウンに(強制的に)立ち会わされているかのような錯覚に陥いるばかりだった。また、Joeの薬物依存(ラッパーの”常備薬”である大麻ではなく、エクスタシー等のピル系)を克服していく様も、美談なハズなのに、食傷気味になるほどわざとらしく、それなりにスキルの高いラッパーだということをすっかり忘れてしまうほどに「どーでもいい」感が否めなかった。
“ラッパー枠”に選出されたもう1人は、完全ノーマークだったConsequence!(びっみょー。笑)どちらかと言うと”コンシャスMC”にカテゴライズされるアーティストである彼からは、このタイプの下世話なリアリティ番組に出演するイメージは皆無であり、さらに驚いたのが、異教徒であるクリスチャンのJen The Penと結婚し(Consequence はイスラム教)、男児を授かっていたこと。イスラムの教えをバックボーンに息子を育てたいConsequenceに対し、クリスマスやイースターを経験させてあげたいJen。日本人には今イチイメージし難い、宗教の異なる二人の結婚&子育てに、アメリカの抱える”問題”の一つを垣間見ることができる。
また、これこそ思い描いていた『LOVE AND HIP HOP』!と、ハンズダウンさせられるRich Dollazの下衆男っぷり、Oliviaのディーバっぷりにも要注目。アーバン誌のモデルを主軸に活動しながらも、シンガーとして新たなキャリアを築きたいと切望するErica Menaを、公私ともに”マネージメント”することになったRich Dollaz。紆余曲折ありながらも、デビューシングル用のトラックが決まり、喜び勇むEricaだが、Richは彼女がバイセクシャルであるという噂を聞きつけ、”罠”を仕掛ける。Ericaは、その”罠”にまんまと引っかかってしまい、Richは涙ながらに(笑)彼女を問いつめ、別れるに至る。(彼女の浮気相手が女性って、嫌なモノ?教えて、男性諸君!)そして、Ericaが何よりも大切にしていたトラックを、Oliviaの新曲用としてレコーディングする決断を下す。(THE ケ・オ・ス!)Oliviaの勝ち誇ったビッチな表情といったらもう……。
(「Where Do I Go From Here」Olivia)
OliviaとErica Menaを比較すると、シンガーとしてのスキルは確実にOliviaに軍配が上がるが、「応援してみようかな」と思わせるのはEricaだと、個人的には思っている。どこか上から目線に感じてしまうOliviaの歌には、「上手いね」とは思っても、心に響く”何か”が欠如している。これこそが、過去に幾度もメジャーレーベルとの契約を勝ち得ても、日の目を見ずに足踏みしている要因ではないだろうか。その点、Ericaは自身のシンガーとしてのポテンシャルを認識していて「ホイットニーにはなれないけど、目指すはJ-Loよ!」と、現実的な部分にも好感が持てる。誰もが隠したがるコズルさや、怒り狂う様をオープンにするEricaには、観ていて疲れを覚えることも多々あるが、その”人間らしさ”が、彼女の最大の”売り”だと、個人的には思っている。
(「Where Do I Go From Here」Erica Menaバージョン)
上記の面子に加え、その他ニューキャストには、ラジオパーソナリティでJoe Buddenの”ベストフレンド兼 元セフレ”のRaqi Thunda、セレブリティスタイリストで暴露本『Game Over』の著者Winter Ramos(JadakissやSwizz Beatz、The Gameとの関係を著書内で暴露)、音楽業界の大物のパーソナルアシスタントを務め、現在は”靴コンサルタント”として、ハイヒールのブランドやショップを展開するRashidah Ali、フィーメールラッパーのLore’lと、何とも胡散臭いメンバーが繰り広げる胡散臭いドラマも、是非箸休めに(もならないが)どうぞ。
キャストの大幅な入れ替え&増員によって、とにかく散らかっている感の否めなかったシーズン3。多くの視聴者も同意見だったようで、シーズン4では更なる編成が施され、新たに仕切り直し。
(『LOVE AND HIP HOP』シーズン4 ティーザー)
Consequence&Jen The Penカップル、シーズン3でJoe Buddenの恋人として登場していたKaylin Garcia、フィーメールラッパーのLore’l、今イチ立ち居値がはっきりしなかったRqui ThundaやWinter Ramosらは離脱。
新メンバーであり、シーズン初頭からいきなり破壊力抜群のドラマを投下してきたのが、特大スマッシュヒット/NYアンセム「Deja Vu」を持つ、Peter Gunz。(みなさーん!Peter Gunzですよー!)
(Lord Tariq&Peter Gunz「Deja Vu」)
Peter Gunzの13年来の恋人であり、2人の息子の母親であるTara Wallaceとの幸せそうな様子で幕を開けるシーズン4だが、Peterがマネージメントしているシンガー、Amina Buddaflyの存在に何ともいやーな展開の予感が……。
(Aminaが所属していた姉妹ユニット=Black Buddafly「Bad Girl」feat. Fabolous)
案の定、PeterとAminaは仕事の枠を超えた付き合いがあり、更には、Aminaに押し切られる形とは言え、結婚までしてしまう。Aminaと夫婦になりながらも、何も知らずにPeterを信頼し続けるTaraとの家に帰宅するという、ゲスの極みとも言える動きをするPeter Gunz。”妻”としての立場を誇示したいAminaは、いつまでたってもTaraに結婚の事実を告げる様子のないPeterに業を煮やし、自らTaraに真実を暴露。
(Aminaの爆弾投下シーン)
Peterのまさかの裏切りに打ちひしがれるTaraだが、怒りのボルテージは極限を超え、家中のPeterの私物(衣類、スニーカー、ギターやキーボードといった楽器類 etc)を全て家の外に放り出し、Peterを出禁にする。(そりゃそうよねー。燃やされなかっただけ幾分マシ!)Taraは、『LOVE AND HIP HOP』にしては珍しい、理不尽さを感じさせない、クラス感のある女性であり、個人的には断然”チームTara!” だが、Aminaの身体に彫られたキーボードのタトゥーを”弾く”Peterのスケベなおっさんっぷりもツボだったりもする。笑。
シーズン4での予想外の出演者枠には、レペゼンクィーンズのリリシスト、Saigon。息子の母親であるErica Jeanと共にキャスティングされ、良きパパっぷりを披露している。が、その愛息子の父親が本当に自分であるのか、今イチ確証が持てない様子で、その胸の内をPeter Gunzに相談する。(痛恨の人選ミス!笑)DNAテストを受け、晴れて自身が父親であることが証明され、Ericaと共に家庭を築く方向で動き出し始める、その地味なドラマ展開も、ある意味予想外だったりもして。
そしてそして!シーズン4で驚きのキャラ変更をかましてきたのが、推しメン=Erica Mena。前シーズンでRich Dollazに公私ともに傷付けられた彼女は、今シーズンではレズビアンとして、恋人のCyn Santanaを従えてカムバック。まるで姉妹かのような、よく似た容姿の華やかな2人が艶かしく絡む様は、男性陣の”おかず”として、その威力を遺憾なく発揮したことだろう。しかしながら、血気盛んなラテン女が2人も揃うと、とにかく騒がしい。Ericaに未練タラタラなRich Dollazが”仕事”と称して彼女を呼び出す度に、Cynは疑心暗鬼となり、怒りにまかせて自分かRichかのニ択を迫ったりと、レズビアンカップルが対峙する問題も、男女のソレと何ら変わりがないことを実感させてくれる。
(Erica Mena & Cyn Santana)
ちなみに、シーズン4開始時には、ヨリを戻していたJoe Budden & Tahiry Joseカップルだが、Tahiryの留守中にJoeが他の女を連れ込んだことがバレて再度破局。復縁を願うJoeは、タイムズスクエアで巨大モニターを使い、Tahiryに公開プロポーズするが、見事に玉砕。笑。自己愛が強過ぎるJoe Buddenの降板を願って止まない私である。
上記のメンバー以外に、Jadakissとの共演がちょっとした話題になっている現役ストリッパー/ラッパーのNya Leeの他に、同番組のスピンオフ『LOVE AND HIP HOP ATL』からシンガーのK. Michelleが派遣され、また、古参メンバーであるYandy Smithも服役中の婚約者Mandeeceesの帰りを待つ、良き妻/母っぷりを見せている。
余談だが、Tahiryは、Kanye Westの義妹(=Kim Kardashianの妹)Kloe Kardashianと交際中だったFrench Montanaと良い仲になり、二人の破局の原因となっている。また、レズビアンにキャラ変更したハズのErica Menaは、つい最近、Bow Wowとの婚約を発表!これこそTHE エンターテイメント!
text by sassyism