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今回のコラムは、視聴率の高さから複数のスピンオフ番組を生み出した『Love and Hip Hop』(制作/放送VH1)シリーズをご紹介。ネタの宝庫過ぎる同番組は、シーズンごとにドラマが満載な上、キャストの入れ替わりも激しいので、まずは手始めに、Season 1&2から検証していきます!


“Love and Hip Hop” Season 1 Teaser

同番組のSeason 1は、Swizz Beatzとの離婚が成立したばかりのMashondaがキャスティングされていたこともあり、ちょとした話題となった。が、放送が開始されると、Mashondaの登場時間は極端に少なく(本人の希望だった模様)、どちらかと言うと、ラッパーの恋人を持つ女性キャストたちの”相談役”といった立ち居値に納まっていたのも意外ポイントである。そんな下馬評を裏切り、同シーズンを牽引していた中心キャストは、6年の交際期間を経ても、結婚する様子のないJim Jonesに苛立ち気味の恋人Chrissy Lampkin、Fabolousの息子の母親で、長年の恋人でありながら、一度も表立って紹介されたのことのないEmily Bustamante、元G-Unitの紅一点=シンガーのOlivia、L.A.からフィーメールラッパーとしてのブレイクを夢見てNYに引っ越してきたSomaya Reeceである。つまり、『Love and Hip Hop』は、これまで語られることのなかった、アーティストの恋人や裏方スタッフ、取り巻く環境にスポットを当てた内容であり、アーティストはキャスティングされてはいるが、あくまで”サブ”な立ち居値で構成されているのだ。そんな中でも、特筆すべきは、結婚か別れるかの二者択一をChrissyに迫られながらも、常時”ハイ”な様子でのらりくらりとかわす、Jim Jonesの憎めないキャラだろう。というのも、結婚に踏み切ることに対しては躊躇していても、Chrissyへの愛を込めたラップを披露したり、彼女をディスったSomayaのマネージャーを鬼詰めしたりと、彼女に対する愛情の”リアル”さは存分に感じる取ることができるのだ。(Chrissyが満足しているかは別として、だが。笑)


(6:00~Jim JonesがSomayaのマネージャーを鬼詰めし、謝罪させるシーン)

また、そんなJim Jones & Chrissyの関係とは対照的に、Fabolousの恋人Emily B.は、常にFabolousからの扱われ方に悩み、家族写真の撮影にさえも現れない彼への疑問を募らせていく。(Fabolousが番組に一切出演しなかったのは、彼にとって得策だったと言えるだろう)そんな恋愛事情と並行して、幾度となくメジャー契約を勝ち取りながらも、アルバムリリースにこぎつけることのできないOliviaの苦悩 & ビッチっぷり、彼女を支える元Bad Boy所属のマネージャーRich Dollaz(流石のネーミング!笑)のDiddyのDNAを脈々と受け継いだ”THE 業界人”っぷりも見物である。また、酒焼けしたようなダミ声で、放送禁止用語を連発しまくるJim Jonesの母親、Nancy “Mama” Jonesの予測不能さに、新たなスター誕生(但し、短期間の、だが)の兆しをみた視聴者も多かったハズ。そんなファーストシーズンは、Chrissyの逆プロポーズ、Emily B.のFabolousとの別離を落としどころに幕を閉じた。

こうして始まったセカンドシーズン、Mashondaはキャストから離脱したものの、Chrissy、Emily B.、Somaya、Olivia、Jim Jones & “Mama” Jones、Rich Dollazはステイ。女性キャストたちは、小金が入ったからなのか、メイク&衣装共に前シーズンよりも垢抜けていて(笑)、また、ファンを得たことによる”自信”をみなぎらせている様に、思わず「わかりやすっ!」と唸ってしまう。このシーズンでは、前シーズンでサブキャスト的な立ち位置だったJim JonesのマネージャーYandy Smithがメインキャストに昇格し、さらには、Juelz Santanaの息子の母親で恋人のKimberly “Kimbella” Vanderheeがマイアミから遠路遥々参戦。もはやこうなってくると、Dipsetのプロモ番組かと錯覚し始めるが、このKimbella嬢がなかなかのくせ者で、過去にはFabolousとも関係があり(もちろんEmilyとの交際期間中に)、自己紹介以前に女性キャストからは総スカンをくらう。あげくの果ては、Chrissyによる代理戦争が勃発し、気持ち良いくらいにボコられる始末。


(Chrissyの女子プロ顔負けの戦闘シーン)

アーバンカルチャー誌でグラビアを度々披露しているKimbellaのライバルとも言える、同業のErica Mena(Terror Squadの Raulのベイビーママ)も登場し始め、お互いに優劣付け合う様から、血みどろ&警察沙汰のキャットファイトに発展。(キンベラ嬢ってば、乱闘に巻き込まれ過ぎ!)


(Kimbella vs Ericaのキャットファイト)

また、”Mama” Jonesのクレイジーさもめきめきと頭角を現し、息子(Jim Jones)の恋人Chrissyに向けたディスソング「Psychotic Bitch」を発表したり、曲タイトルを施したTシャツを販売したりと現役ハスラーっぷりを発揮。(番組内でお披露目したTシャツのロゴ”Psychotic”のスペルミスもご愛嬌。笑)


(“Mama” Jones「Psychotic Bitch」)

女性陣のキャットファイトばかりが強烈な印象を残したセカンドシーズンだが、最終的な着地点はやっぱりJim Jones!ファーストシーズンでChrissyからの逆プロポーズを受け”婚約”の形を取っていた二人だが、進展の無い関係に、Jim Jonesと距離を置くことを決意したChrissy。気を紛らわすために、OliviaやEmily B.と共にマイアミ旅行に出掛け、複雑な心境ながらも楽しい夜を過ごしていた。そこに、まさかのJim Jonesが登場し、超ゴージャスなダイヤモンドリングを片手にプロポーズ・・・荒んだ気持ちを一気に甘く溶かしてくれる、そんなJim Jonesの行動に、女性ファンの増加を確信。こうしてChrissy & Jim Jonesの二人はスピンオフ番組『Chrissy & Mr. Jones』の契約を勝ち取り、『Love and Hip Hop』を卒業した。


(Chrissy & Mr. Jones + Overview + VH1)

特筆するには値しないが、元Roc-A-Fella Records所属のTeairra Mariもセカンドシーズンに登場している。が、唯一の感想としては、なぜ彼女がプチブレイクで終わったのか、Jay Zという後ろ盾の偉大さを実感させられるような、そんな存在感の無さばかりを露呈していたように思う。

次回は、キャストの大半を入れ替えた『Love and Hip Hop』のシーズン3&4を紹介していきます!

text by sassyism