f_in_20090902_djbabyyu_01

■自己紹介からお願いします。

“Remix Kid”のDJ BABY-YUだ。カナダ出身だよ。今はアトランタに拠点を移して活動しているよ。DJを始めて10年になるかな

■DJを始めたきっかけは?

音楽が好きだったからだ。地元ではR&BやHIP HOPを聴いてたわけではないんだけど、両親が音楽好きでいつも音楽に囲まれた生活をしていたよ。オレの両親は演歌が大好きなんだ。(*彼の両親は日本人)成長するにつれて、年上の友達と一緒につるむようになって、彼らがR&BやHIP HOPを好んで聴いていたんだ。そこから影響されて、レコードやCDを集めるようになった。それでパーティーがある度に、レコードやCDを持って来るように頼まれ始めた。で、幼なじみのサプライズ誕生日パーティーに行ったときに回してたDJが、昔、近所に住んでいたヤツで、ちょっとした同窓会気分のときに、彼が持ってた機材に興味を持って、自分でもターンテーブルを買って本格的にレコードを集め始めたんだ。それがDJになったきっかけだね

■アジア人DJとして苦労したことってありますか?

みんなその質問をするんだけど、オレの覚えている限り、苦労だと感じたことは無いな。トロントは国際色豊かな街で、黒人×アジア人、白人×黒人と、異人種同士のカップルなんてごく普通の光景なんだ。でも、アトランタはそれとは真逆で、とても偏っていると思うんだけど、オレにとってはそれが好都合だったりもするんだよ。例えば、客が黒人しかいないクラブにオレがいると、唯一のアジア人だからとにかく目立つだろ。“アジア人にHIP HOPの何が解るんだ?”って顔されるのがオモシロイし、オレはこの状況を楽しんでるよ

■アトランタの話が出ましたが、トロントから何故アトランタに引っ越されたんですか?

トロントに居たときから、アトランタの有名プロモーターやクラブのオーナーによくブッキングされていたんだ。5年の付き合いになるかな。で、去年、超ビッグなパーティーの仕事を請けて、そのときにマネージャーが「こっちに(アトランタ)引っ越そうと思ったことないの?」って聞いてきて、そのちょっと前からオレ自身も(引っ越しを)考えていたから決定打になったんだ。その半年後にはアトランタ在住だ。みんなにクレイジーだって言われたな。今、旬のアーティストたちはみんなアトランタに住んでるから、DJとしても好都合だろ

■個人的に付き合いのあるアーティストはいますか?

Ludacris、112のSlim、Akon、Ne-Yo、一緒に仕事をしたことのあるアーティストとは良い関係だと思ってるよ。去年のオレの誕生日パーティーは、Jermaine Dupri、Usher、Bryan Michael Coxが来てくれたな。みんなその辺に住んでるから、ブラっと遊びに来るんだ

■今回が初来日ですよね?

そうそう。かなり楽しみにしていたんだ。DJを始めたときから、“日本でDJをすることが出来たら、DJ辞めてもいーや”って思っていたから、本気で興奮してる。どんなに有名になろうと、外国人(黒人でも白人でも)を(海外で活躍する)アジア人よりも優先する“アジアの音楽業界のやり方”は理解しているつもりだから、個人的には大きな達成感があるんだ。だから、JCやJIRO(C2C)には感謝しているよ。もちろんFatman Scoopにもな

f_in_20090902_djbabyyu_02

■『A TRIBUTE TO GREATEST RAPPER OF ALL TIME B.I.G. Mixtape』はアジア圏ではまだ未発売なんですよね?

このmixtapeはブランドと提携していて、本当は30分尺だったんだけど、Biggieで30分なんて無理だろ。だから、尺を忘れて、昔のレコードをとにかく引っ張りだして、スタジオに籠ったよ。誰とも連絡取ってなかったから、みんなに心配されたな(笑)。でも、その時間はとても楽しかったんだ

■『Incredable Mixtape』ついて聞かせて下さい。

Fatman Scoopとツアーが決まったとき、パートナーのStoneyが、HIP HOP、R&B、ロック、エレクトロ、何でもアリのmixtapeの企画を思い付いたんだ。ツアーをまわる上での最適のプロモーションツールになるだろ。そのときの作品なんだ

■VIOLATORとはどういう経緯でリンクしたんですか?

6年くらい前かな、当時、ラジオの仕事をしまくっていた時期があったんだ。毎日、6番組持っている、アジア人初のDJになったんだ。それがアメリカ進出の足掛かりになったしな

■カナダで既にキャリアを築いた後のアトランタへの移住ですが、不安はありました?

全然。カナダでの目標は達成してしまったし、もっと上を見たいを思ったときの限界が知れていたんだ。カナダでは、Nasのオープンアクト、Snoop DoggやSean Paulとのツアー、Kanye West、Usher、Jay-Z……、アフターパーティーまで数えたらキリが無いくらい仕事しているんだ。でも、次のレベルで勝負したいと思ったときにトロントでは難しいと思ったし、何度一緒に仕事をしても、年に1回会うかの付き合いだともったいないと思ったんだ。その点、アトランタなら毎週顔を合わせることが出来るから、ビートを渡すのも簡単だし、仕事の幅も増えるからね

■DJ Jazzy Jeffから直で誕生日パーティーでのDJをオファーされたとお聞きしましたが。

そうなんだ。オレ自身もかなりビックリしたよ。トロントでDJ Jazzy Jeffのオープンアクトをしたり、ラインナップでパーティーしたことがあるんだけど、基本的にゲストDJって、自分のセットの前のローカルDJのセット聴いてないから、DJ Jazzy Jeffが実際に感想をくれたときに本気でビックリしたんだ。DJ Jazzy JeffはDJとしてはリスペクトしているけど、オレの“アイドル”では無かったからな

■あなたの“アイドル”といえば?

特にいないんだ。音楽が好きで、流してる内に(DJに)なっちゃったもんだから、目指した“DJ”がいないんだよ。だから、マネージャーが超興奮して「DJ Jazzy Jeff が、40th BirthdayパーティーにオマエにDJして欲しいって!」って言ってきたとき、「That’s Cool」くらいの反応だったのも、覚えてる。マネージャーは「オマエ、嬉しくないのかYO!」みたいに驚いてて、オレも嬉しくなったな。とにかくクレイジーだったし、(パーティーも)楽しかった

■記憶に残るパーティーといえば?

絶対的にJay-Zのキャラバンウィークエンド in トロントだな。カリビアンフェスで、2億人とかで街中が溢れ返っていて、その中でも大きいクラブでオレはスピンしてたんだ。で、いきなりマネージャーが「Jay-Z、Kanye West、Rihannaが今から来るから準備しろ!」って騒いでたんだけど、その時点でもう来店してて、ソカミュージックしか流さない小部屋で持て余してたんだ。で、オレが準備を始めてる間、当時のオレのMCがJay-Zの大ファンで、10分とかJay-Zトリビュートで小話始めちゃって(笑)、で、その後、オレがROC-A-FELLAのセット1時間回して、ちょっとしたコンサート会場になってたんだ。Jay-ZもKanye Westも踊り過ぎて汗かきまくってて、彼らを汗をかくまで踊らせたDJがオレ、ってことは、本当に嬉しい気分だったよ

■最近の仕事は?

Mixtapeは日常仕事だけど、Hosted by Rakim、Mobb DeepのMixtapeもリリース予定だ。まだ触ってないけど、いつでも準備は出来てる。あとは、オレのメインゴールでもある“ビート/プロダクション”に力を入れていくよ。あとはツアーがいくつか控えてる。11月のオーストラリアにカナダツアー、感謝祭の週末はヒューストン、12月にアジアに戻って来たいと思ってる

■トロント、アトランタ、その他の都市での違いを挙げると?

どの都市も客の反応に色があるよ。トロントだと、多種多様の人種が混在しているから、オールドスクール、ニュースクール、R&B、レゲエ、ソカ、ハウスをバランス良くチョイスするけど、アトランタだと2時間ぶっ通しでダーディー・サウスの時も余裕であるし、Gucci Mane、Young Jeezy「Hood Anthem」は鉄板だ(笑)。アジアだとビルボードトップ40を流すとうけるし、違った楽しみがあるよ

■セットで必ずかける1曲は?

うーん、絞るのに難しい質問だけど、Notorious B.I.Gの「Juicy」は絶対流す1曲だね

more info: babyyu.com

interview & text by sassyism