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■自己紹介からお願いします。

Fatman Scoopと一緒にロックしまくって16年のDJ Knucklesだ。Fatman Scoopと出会った頃はFatman ScoopはTeddy Rileyのクルーとして、オレはDoug E. Freshのクルーとして活動していたんだ。元々オレはダンサー志望だったんだけど、ある日Doug E. Freshに「ダンスも良いけど、一生踊り続けるのは難しいぞ。他に何が出来るか?」って言われて、前から続けていたDJを本格的に始めたんだ。
その後、Doug E. FreshがLil Viciousを紹介してくれて、Miss Jonesのツアーをまわるようになったんだ。Doug E. FreshとTeddy Riley、Slick Rickでショーを一緒にやったり、Teddy Rileyの家で遊んだりもしたよ。当時、彼らは人気者だったけど、あんまり関係無かったな。それから皆でDoug E. Freshの家で遊ぶようになったりしているうちにクルー同士の交流が始まったんだ。そこにFatman Scoopもいて、お互いにジョークを飛ばし合ったりしているうちに仲良くなったんだ。

■Doug E. Freshとは今でも交流がありますか?

勿論。Doug E. Freshはオレの兄貴みたいなもんだよ。ハーレムでフィッシュ&チップスのお店をオープン予定だから、その様子を帰国したら見に行くんだ

■世界何ヶ国を周りましたか?

行ったことのある国よりも行ったことのない国の方が解かり易いかもな。何年か前にFatman Scoopと話をしていて気が付いたのだけど、まだ中国に行ったことがないんだ。。。ヨーロッパは数えきれないくらい行ったことがあるし、アフリカもある。台湾には2回行ったよ。

■ツアー中の最もクレイジーな経験は?

ドイツのツアー中に、次の都市に行くのに9時間位運転しなきゃいけなかったんだ。その途中で警察にスピード違反で止められて、「車の外に出ろ」って言われたんだけど、初めてのドイツだったし恐かったから車から出なかったんだ。そしたら警察官が「金を払えば見逃してやる」って言ったから、幾ら払ったのかまでは覚えていないけど、金掴ませたら「早く行け!」って言われて解放されたよ

■警察官に止められるのってある意味、慣れてますよね?(笑)

警察官に止められるのは慣れてるけど、外国で言葉の通じない警察官相手だと勝手が違うだろ(笑)。あの警察官はあんまり英語は喋れない感じだったけど「金を出せ」だけはしっかり言えていたな

■最も思い出深い経験は?

オレはFatman Scoopとタッグを組んで16年、音楽業界ではそれ以上の年月を過ごしてきた訳だけど、何と言ってもDoug E. Freshのお陰で沢山の女優、俳優、アーティストに会えた事だよ。例えばEric B. & Rakimの「Smoke Machine」ツアーを周ったり、LL Cool Jが「Jingleling Baby」をパフォームしながら女のコを従えてる脇でTシャツを配ったり、Fatman ScoopはTommy Boyに所属していたNaughty By Natureをデビューさせたり、とにかくいろんなものを観てこれたんだ。丁度シドニーオリンピックのタイミングにオレたちもオーストラリアにいて、アメリカ代表のバスケットボール選手の殆どが友達だったから、現地で一緒にパーティーしたんだけど、オーストラリアの女の子たちのオレたちに対する熱烈歓迎ぶりが凄かったんだ。クラブで飲んでいたら「あれ、DJ Knucklesだよね」とか言って、コソコソ囁き合ってるのが聞こえるんだぜ。で、ライブではある女の子が”I Love You Knuckles”って書かれたTシャツ姿で現れて、一晩中「I Want You!」って叫ばれたのが思い出深いな

■凄いですねー。もちろん御馳走様しちゃいました?

当たり前だろ!彼女は以前オレたちのパフォーマンスをドイツでも観ていたんだけど、その時は偶然旅行でオーストラリアを訪れている時でオレたちのショーが行われることを現地で知って駆けつけてくれたんだ。それで奇跡の再会を果たしたんだよ(笑)。そういえば、その時彼女は”I Love You Knuckles”って書かれたTシャツ1枚でストッキングにハイヒール姿だったんだぜ。それにヒールの色と文字の色がマッチしていてSexyだったぜ

■Fatman Scoopの後ろ姿でその日のテンションが解ったりしますか?

勿論。オレたち、今まで一度も練習をしたことが無いんだ。練習は新鮮さを失わせてしまうと思うから。その日の気分が1番大切だから、いくら練習しても同じヴァイヴスになれるとは限らない。だから、ステージに上がる時のFatman Scoopのヴァイヴスを感じ取るんだ。オレはFatman Scoopが求めていることが解るし、それをどう活かすかも知っている。信頼されているってコトだ

■セットリストはありますよね?

ある程度のセットリストはあるけど、Fatman Scoopのその日のテンションや”手”の動きで、どの曲をスキップするかを判断するんだ。キーワードを言ったり、オーディエンスに話しかけているんだけど実はオレにサインを送ったりしているから、人が多くて声が聞こえなくても上手いことやれるんだ。今日(Fatman Scoop & DJ Baby Yu “Asia Tour 2009″ @ WAREHOUSE702)だって1日中顔を合わせていなかったし、サウンドチェックも3秒くらいで終ったけど、問題無かっただろ?

■シーンの移り変わりを間近で見て来たアナタの視点で、ベストラッパーを選ぶとしたら?

間違いなくRakimだね。さっきDJ Baby-YuとJCともその話をしていたとこなんだけど、俺たちは皆世代が違うから、出て来る名前も違うんだけど、オレの世代だったらまちがいなくRakimだ。Rakimは詩人であり、Hip-Hopを一つ上のレベルに押し上げたアーティストだ。カリスマ性もあって、彼の発する言葉の一つ一つが全て意味を持っているんだ。それがHip-Hopのあるべき姿だと思うね

■DJ視点で、もっと評価されても良いラッパーをあげるとすると?

Jadakissだね。Jadakissは素晴らしいMCだし、Jay-Zに匹敵するくらいの知名度があってもおかしくない。でも、Jadakissはストリートから愛されればそれで満足なんだ。オレとしては、Jadakissの言葉をもっと世界中の人に聴いて欲しいと思うけどね。だからそういう意味で、Jadakissはもっと評価されても良いラッパーだと思うよ

■ハーレム出身から見た、最近のハーレム事情は?

ハーレムも結構騒がしいことになっているんだけど、気付いて無いヤツが多いんだよな。若手のDJ Webstarは、ガキの頃、オレが学校まで送ってやったりしたんだぜ。Ron Browzの初期のDJはオレだ。ハーレムのヤツらも金を稼ごうとハッスルしてるよ

■ハーレムというか、New York全体を考えてもアンダーグラウンド・アーティストだけでも数えきれない人数いますよね。その中で、頭1つ上に出る要素は何だと思いますか?

一貫性だと思うね。もしそこに愛を感じるなら、全力で取り組むべきだ。例えばDJになりたいなら、プロモーターに騙されても、機材が壊れても、投げ出さない強い気持ちを持つことだ。続けていれば必ず報われる日が来るからな。オレはハーレムのベイビー・シャーだったけど、今ではハーレムからハリウッドだ!それにアジアでもパーティーをするDJだからな。

「Be Faithful」以外で必須のレコードと言えば?

The Notorious B.I.G. feat. Puff Daddy & Mase 「Mo Money Mo Problem」だ。”Mo Money Mo Problem”はオレのスローガンでもあるし、全てのことに当てはまるだろ。それにオールドスクール好きのオレとしては、Diana Rossをサンプリングしているってだけでもストライクなんだ。それにオレのママも好きなんだ。Maseも友達だし

■Maseといえば、BAD BOYに復帰したんですか?

アイツ何してるんだろうな。近況はオレもよく知らないよ

■Maseもそうだし、Loonなんていつの間にかイスラム教徒になっちゃってるし、どうなってるんですか?

Loon、、、、アイツのことは友達だと思ってるけど、全然会ってないし、何になってようとそれは自分の未来を考えてのことだと思うけど、最後にLoonに会った時、Bad Boyからリリースされるアルバムの制作中だって言ってたんだけどな。
Maseは、リリックを書く能力もあの声も健在だから、復帰するのは可能だと思うけど、ファンの信頼を取り戻すことをまず考えないといけないな。ゴスペル歌いながらギャングスタされても、シラケるだけだろ。個人的にはMaseの復帰には期待しているんだけどな

■現在取り組んでいるプロジェクトは?

今はFatman ScoopのパーティーEPに集中しているよ。オレとFatman Scoopは、DJ KoolとDoug E. Freshと一緒にBad Boyと契約していて、パーティー・キングス名義でリリースする予定があったんだけど、色々あってリリースが長引いて、今ではそれぞれが個人プレイで稼ぎ始めて忙しくなってしまっている状況なんだ。Puff Daddyは気分次第で予定が変わるから、全く集まれないんだ(笑)。だから、Fatman Scoopの新曲、ストリート用、ヨーロッパ用、8曲にビデオ2作品を発信する予定だ。新たなパーティー曲のお披露目だ。それ以外だと、DJ Baby-Yuも巻き込んで一緒にツアーやりたいと思ってる。知り合ったばかりだけど、クールだし、ダウンサウスの人気もスゴイからな

Interview & Text by sassyism / Co-operation : Jiro of C2C