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+++音楽業界の屋台骨を支えている裏方にスポットを当てたバックステージインタビュー+++

 

■タイトルと仕事内容をおしえてください。

Black Flag Managementの代表のHailuだ。A&R、アーティストのマネージメント、ツアーの企画、ブランド・マーケティング、プロモーションを含むマーケティング全般、エンターテイメントに関するビジネス・コンサルタント、とにかく幅広く請け負ってる

 

■音楽業界で働いてどれくらいになりますか?

生まれたときから、この業界一本だ(笑)。冗談だよ。キャリアは6年だけど、業界歴20年のベテランにも負けない自信があるよ

 

■音楽業界で働き始めたきっかけは?

Steve Stoute、Sha Money XLと地元が一緒なんだ。オレは、彼らの一挙手一投足、金を稼ぐ様を見て来たよ。彼らは、オレにとってのインスピレーションだったんだ。それに、昔からオレは音楽に対する”耳”、才能を見分ける”目”が突出していたんだ。それを活かさない手はないだろ

 

■一緒に仕事をしたアーティストを教えてください。

50 Cent、Young Buck、Lloyd Banks、Tony Yayo、Mobb Deep、M.O.P.、DJ Whoo Kid、Ky-Mani Marley、Kurput、C-Murder、King Jigg、Slim Thug、Lil Flip、BETのBig Tigger、『106 & Park』のMCのTerrence J、そんなトコかな

 

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■この仕事の魅力は?

オレにとってこの仕事の最大の魅力は、世界を見れるってことだ。日本、インド、オーストラリア、ニュージーランド、UK、スペイン、イタリア、ドイツ、ロシア、もう既に世界の大半は訪れたよ。今は、世界2周目に向けて努力してるよ

 

■逆に、この仕事の難点をあげるとしたら?

そうだなぁ。この業界は、大金を稼ぐチャンスが転がってるから、それに群がるハイエナみたいな連中とも付き合いを持たないといけないコトかな。オレの成功を願ってると思っていた人間たちが、邪魔をしてくることもあるしな。彼ら自身、既に成功を納めていて、オレを引き上げることなんて簡単なコトなのに、あえてそれをしない人間たちばかりだよ。でも、それは、彼らなりの”防衛方”だと思ったら、適当に付き合うのが得策だって解った。左に曲がるふりをして、右に進む。そういう相手には、コレが1番だ。

 

■G-Unitと仕事をするきっかけになったのは?

G-Unitの元代表、Sha Money XLと地元が一緒だっていうのがきっかけかな。G-Unitがメインストリームで成功を納める前に、今ではクラッシック化しているmixtapeでストリートからの絶大な支持を受けていたんだ。ある日、Shaと道でたまたま出くわして世間話に花を咲かせてたら、50の Centニュージャージー公演に招待してくれたんだ。Sha Money XLは、オレが業界での仕事を熱望していたのを知っていたから、すぐにフックアップしてくれたよ。

 

■G-Unitとの仕事と、他のクライアントとの仕事を比較してみて、最大の違いをあげるとしたら?

G-Unitの仕事で大切なのは、オレ自身が常にストリートの流れに敏感である必要があるってコトだ。オレがG-Unitと仕事をし始めた頃は、業界内だけじゃなく、ストリートにもG-Unitをよく思ってない人間がたくさんいたんだ。最初は、ストリート・チームとしてプロモーションをやり始めて、A&Rに登り詰めるまで、各方面での”ビーフ”は避けて通れない問題だったな。それに比べると、他のクライアントの仕事は、ストレスが少なかったね。

 

■Mobb Deepと来日された時に日本のシーンも御覧になったと思うのですが感想を聞かせて下さい。

日本のHip Hopシーンは、グレイトの一言だね。日本人は、Hip Hopの真髄をきちんと理解して、感謝の気持ちを忘れていないと思う。ブレイク・ダンス、グラフィティ、DJ、MC、そしてファッション・・・。音楽、特にHip Hopは、言葉の壁を取り払えるってことを再認識したね。

 

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■ここ数年の音楽業界の売上不振は、周知の事実ですが、この状況を打破するには何が必要だと思いますか?

まずは、クォリティの高い作品を発表するってことが大切だよな。音楽業界が、昔のように戻るのは不可能に近いと思う。技術は日々進化しているし、その流れを受け入れて、付いて行かない限り、未来は無いと思うね。ここ数年、CDやレコードの小売店は商売が難しくなってくるし、向こう数年で、存続自体も危ぶまれて来る。音楽を買ったり・売ったりするツールに、インターネットを活用しているこのご時世だからな。ネットの手軽さや迅速さに、小売店が太刀打ちできると思うか?メジャー・レーベルの大半は、デジタル・ディストリビューションに移行していくし、ラッパーの多くはインディーからのリリースに意欲的になると思うね。

 

■次に”来る”ムーブメントを予想するとしたら?

Black Flag Managementに決まってるだろ!

 

■現在取り組んでいるプロジェクトを教えて下さい。

Bob Marleyの息子で、映画『Shootas』にも出演しているKy-Mani Marleyのアルバム『Radio』の制作が終わったところだよ。既にリリース済みだし、iTunesでも買えるからチェックしてみてくれ。他には、TV番組の制作にも携わっていて、来年OA予定だよ。詳しくは、いろいろと話せる段階になるまでお預けだ。あとは、アメリカ国内での大規模なコンサートを企画中だ。海外公演にも意欲的だから、アーティストをブッキングしたい日本のプロモーターや、アメリカでの露出を検討中の企業の担当者は連絡をくれ。

 

■この仕事をする上で、大切なことを3つおしえてください。

有能な弁護士を雇うのは1番大切かな。あとは、一人一人が自分の立ち居値をしっかり認識してるチーム、そして、コネクションを作れるネットワーキング能力だ。

 

■モチベーションを保つ糧は?

この世界は、弱肉強食の典型だ。喰うか・喰われるか、喰われたくなければ、自分の足でしっかり立つってことを常に意識してるよ。あとは、クダラナイことには関わらないようにして、ポジティブな人間との付き合いを大事にしてる

 

■最後に、業界での仕事を希望している人たちに、アドバイスをお願いします。

この業界の扉は、万人に開かれているワケじゃない。だから、昼の仕事を辞めるなよ!でも、どうしても業界以外考えられないっていうなら、たくさんの犠牲を強いられるってことを忘れるな。何か新しいことを始める前に、まず一つのことを全うするってのも大事だぜ

 

Interview & Text: sassyism