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+++音楽業界の屋台骨を支えている裏方にスポットを当てたバックステージインタビュー+++

 

■仕事内容の説明をお願いします。

俺は俗にいう”ストリート・プロモーター”で、マーケティングを専門に仕事をしているよ。大規模なストリート・チームを動かしていて、ストリートを中心に、新人アーティストや新商品を、ラジオやクラブ、流行の場所でプロモーションしてみんなに広めることが仕事だよ。新曲をクラブやラジオで流させるってのも仕事の一環だよ!

 

■この仕事を始めてどれくらいになりますか?

“ラップ”が誕生したときからだよ。初期の頃は、Doug E. Fresh、Queen Latifah、2 Pac、N.W.A.、Salt-N-Pepa、Snoop Doggのプロモーションを担当したよ。トータルで26年目かな。

 

■この仕事を始めたきっかけは?

フライヤーを配るのは、女のコとお喋りする絶好のチャンスなんだ(笑)。自分が担当しているパーティーに女のコを誘って、現場でこっそり遊んだりって最高だろ(笑)

 

■スタッフは何人くらいいますか?

全米中に100人以上いるよ。NYだけだと20~30人ってとこかな

 

■最近仕事をしたアーティストをおしえてください。

Lil’ Kim、Bone Thugs N Harmony、Fat Joe、50 Cent、Soulja Boy、Keshia Cole、Nas、Swizz Beatzってトコかな。ほとんどのアーティストとは仕事したけど、唯一残る大物は、Jay-Zだけだ!

 

■貴方にプロモーションを依頼する場合の、ミニマム・レートをおしえてください

今は、ネット上でのプロモーションもやってるから、e-blastに電話して聞いてみてくれ。とりあえず、4,000人を超す全米中のDJに曲を送るサービスが375ドルだ。ストリート・プロモーションは、1,500ドルからで、過去には100万ドルを超える依頼もあったな。

 

■ミニマム・レートで保証するプロモーションは?

DJにクラブやラジオでスピンさせて、Mix CDに載せることかな。

 

■今までどのアーティストが一番大枚をはたきましたか?

たくさんいすぎるよ・・・(笑)

 

■貴方がこの仕事を始めた当初と、現在のシーンの違いをおしえてください。

そうだなぁ。俺がこの仕事を始めた頃は、とにかく楽しかったな。ストリート・プロモーションは、当初すごく新しいジャンルだったし、レコード片手に道行く人たちやDJたちに配りまくってたよ。レコードとフライヤーがギッシリ詰まった箱を持ち歩いてね。それを仕事にしたのは、俺たちだって自負があるね。当時は、まだプロモーション・バンなんて存在していなくて、大きな鞄にスニーカーで歩き回ったもんだよ。今は、インターネットの普及によって、音楽のやり取りも1クリックで済む。商品に対する反応も瞬時に届くしね。俺たちのプロモーション・バンは、前後左右を商品の広告で覆っていて、遠くにいてもかなり目立つぜ。あとは・・・、CDやメモリー・スティック、有益だと思ったらまずは試してみるね。

 

■現在、取り組んでいるプロジェクトは?

50 Centから秘密の仕事を依頼されているよ。あとは、Soulja boyや俺が最も期待しているグループThe DEY。こいつらはビッグになると思うね。他には、ハートフォード出身の若手フィーメール・ラッパー、Essenceにも注目して欲しいね!

 

■この仕事をする上で、大切なことを3つあげるとしたら?

人気や実力のあるDJに音を届けること。美容室や理容室、洋服屋にも積極的に商品を勧めること。プロモーション側のプレスを雇うこと。この3つかな。

 

■CDのセールスが下降の一途をたどる昨今ですが、現状を打破するために特に何かされていますか?

今、テスト中のことがあるんだけど、それは企業秘密だから話せないよ。ごめんな。

 

■仕事上で、嬉しかったこと&辛かったことをおしえてください。

一生懸命プロモーションをした後に、担当したアーティストの曲がラジオから流れてきたときかな。努力が報われる瞬間だね。いつも残念に思うのは、才能豊かな素晴らしいアーティストが日の目を見れないときかな。

 

■日本人でこの仕事をしたいと思う人に対する必須条件は何ですか?

音楽と業界に対する”愛情”かな。あとは、ハングリー精神があって徹夜上等な人間は、常に募集中だ。

 

■プロモーションのお仕事以外に、他に何かされていますか?

プロモーションは、俺の人生そのものだ。世の中はビルボードに支配されていて、そこにポスターを貼りに行く予定だ(笑)

 

■現在のHIP HOPシーンについて、貴方の考えをきかせてください。

寂しいね。それ以外言葉が見つからないよ。アーティストたちが”愛情”を持って取り組んでいた時代を思い出すことを願ってるよ。地位や名声は後から付いて来るモノなんだから!

 

■最後に、貴方にとってのHip Hopの定義をおしえてください。

Hip Hopは、ライフスタイルだよ。俺はHip Hopと一緒に時代を過ごして来たし、今の”俺”がいるのもHip Hopの存在があったからこそだ。俺は”Hip Hop”というフィルターを通して、全米中で起こっていることを理解しているんだ。Hip Hopはカルチャーであり、ライフスタイルなんだ!

 

Interview & Text: sassyism