f_in_20061223_01

 

■おかえりなさい! 引退を撤回してシーンに復帰されましたが、Hip Hopに対する気持ちは以前と変わりませんか?

自分自身もそうだけど、人が共感するのは、”アーティスト”ではなく、”音楽”だってことに気付いたんだ。と同時に、キャリアを追求していくには、”アーティスト”としてみんなに共感してもらうことが前提だし、ヒット曲があるのにアルバムは不発、という事実は、その”人となり”がファンに伝わっていないからなんだよな。だから、自分の感情や意見を音楽に取り入れるってことが本当に大切だってことを実感しているよ。

 

■正直なトコロ、本気で引退を考えていらしたんですか?

最初の2年は本気だったよ。でも、違う形で”情熱”が沸き上がってきたんだ。

 

■「The Lost Ones」について聞かせてください。

誰もが心の中を整理しなきゃいけない時期ってのがあるだろ。リリックの内容は、2年前に俺が感じていたことなんだ。このタイミングでライムしたから、現在進行形のことだとか、日々の出来事だと勘違いされているみたいだけど、全て過去の話なんだよ。俺は自分の置かれている状況や、身の回りのコトを”音楽”以外で表現するつもりはないんだ。つまり、”音楽”は俺にとってのセラピーみたいなモンで、気持ちの整理をするのに必要だってコトだな。

 

■アルバムには誰が参加していますか?

Dr. Dreが主要人物かな。アルバムの80%は、Dr.Dreがミックスしているし、プロデュースも5曲手掛けている。Just Blazeが3曲だろ、あとは・・・Kanye West、Pharrell、Swizz Beatzにも参加してもらった。俺は、アルバムをリリースする度に新人プロデューサーを起用するようにしているから、今回も2人新人を使っているよ。

 

■他とは一線を画すPVも有名ですが、PV制作にあたり心がけていることは何かありますか?

曲の内容を詳細に表現することだな。曲を創るときに浮かぶアイディアを、視覚で訴えるんだ。単にビデオを撮るのは好きじゃないけど、アイディアを形にすることに関しては、俺は常に真剣だ。PVは曲を創るのと同様に大切な作業なんだよ。

 

■水危機を訴える為、アフリカを訪問されましたよね。そこでの経験やショーの感想を教えてください。

アフリカでの水汲みの役目は若い女性が中心なんだ。14歳の少女が、朝一番にバケツを持って水源を目指して何マイルも歩くんだ。水の入ったバケツは30ポンドを超える重さで、体重の半分にもなる。その水を何人もの人間でシェアしているんだ。俺はその現状に愕然としたし、個人出資で15の井戸を建てたよ。蛇口をひねって水が出る、そういう環境を目標に、今後も協力していくつもりだ。国連やMTVとタッグを組んだことで、現地の人たちとの交流だったり、小さな町へ行くことができたり・・・、とにかく素晴らしい経験ができたし、ショーも価値あるモノだったと思ってる。

 

■ワールドツアーやアフリカ訪問の経験は、アルバムで反映されていますか?

実は、ツアー開始前に、アルバムのほとんどは録り終えていたんだ。オーストラリア滞在中に最終調整をしたんだけど、1ヴァースだけ、その場でレコーディングしたな。アルバムを聴いてくれれば解ると思うよ。

 

■ワールドツアーを開催したことが、Hip HopをUSだけではなく、世界中に浸透させるのに効果的だったと思います。

このワールドツアーで4大陸を周ったが、Hip Hopが若者文化の中心で、その文化を左右しているってことを垣間見ることができた。俺は、”Hip Hop”というジャンルや、その根底にあるカルチャーのために力をつくしているつもりだし、世界中の人間にHip Hopが持つパワフルさを感じて欲しいんだ。

 

Translated by sassyism