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■シンガー/俳優/モデルとタイトルをいくつもお持ちですが、”MC”としてHip Hopのアルバムをリリースするのに不安はありませんでしたか?

全くなかったね。今まで挑戦してきたことの中で、一番自信を持って取り組めたよ。音楽的な面でいうと、アルバム自体、息をするようにできた作品といえるね。Snoop DoggやKurupt、Chamillionaire・・・と、Hip Hopアーティストとして確立している人たちの反応で、大きな手応えを感じたし、それが自信に繋がっているんだ。Jay-Zも聴いてくれたんだぜ。彼らの意見は、俺の才能の証明だろ?シンガーとしてのタイリースのイメージしかない人は、Hip Hopのアルバムを聴いたら俺がシンガーだってことを忘れると思うよ(笑)。 MCとしてトップだとまでは言わないけど、良質な音楽を提供している一人だとは言い切れるな。

 

■Hip Hopアルバムでは、西のGファンクな音もあり、東のフレイヴァあり、サウスありのカラフルな仕上がりですね。サグフレイヴァ全開のスピットだったり、繊細なライムだったり・・・ご自身のラップスタイルにも幅を感じました。

そうだね。俺にとってライムするということは、歌うことよりもごく自然なことなんだ。R&Bの歌詞ももちろん書くけど、他人に任せるときもある。でもラップのリリックに関しては、全て自分で書いたモノだよ。俺自身、何をスピットしたいか、どんな気持ちかってのが、ラップでは表現しやすいんだよ。

 

■Hip Hopアルバムは客演も豪華ですね。Snoop Dogg、Kuruptは予想できたのですが、Method Manが意外でした。コラボレーションが実現した経緯をおしえてください。

Method Manとは、MTVのプレスルームで偶然再会したんだ。そのとき、Method Manはすごく元気がなくて音楽に対する情熱を失いかけているように見えてさ・・・Method Manとは長年の付き合いだし、俺は彼の大ファンでもあるから、俺なりにできることを考えたんだ。ちょうどそのタイミングでScott Storchとのセッションがあって、そこにMethod Manを誘ったら来てくれて・・・最初は、Scott Storch のトラックでR&Bを歌うハズだったんだけど、俺のライムを聞いたMethod ManとScott Storchが、「ラップするべきだ!」って勧めてくれたんだよ。それで実現したってワケ。

 

■「Fly Away」は、シンプルなビートにKuruptとの電話の会話が非常にリアルですね。

みんなに俺のリアルな部分を感じて欲しかったんだ。俺やKuruptを身近に感じられたんじゃないかな。俺には、金、車、女・・・何でも揃ってる。ラップをして金を稼ごうなんて思ってないんだ。金を稼ぎたいと思ってるんだったら、俺は迷わず映画出演のみをこなすね。

 

■「Broke Ass Niggas」は、お金目当てに近づいてくる人のことをライムしてますよね。実際にそういうことは起こったりしますか?

そんなの日常のことだよ。みんながみんなお金を持ってるわけじゃないから、助けられるときは助けてるけど、何度も続くとさすがに考えるよな。

 

■MCとして、どうスタイルを確立していきたいとお考えですか?

レコーディングが終わって、リリースを待つのみの今は、何も考えられないね。それくらい全力投球したんだ。一日5~6曲録る日々だったからな。次のアルバムやMixtapeのことも視野に入れなきゃいけないんだけど、今は流れに任せるって感じだ。

 

■R&Bアルバムからのリードシングル「One」はPVも素敵でしたね。犬が指輪を運んでくるシーンがとても印象的でした。普段からああいうロマンティックな演出をされるんですか?

あれはいつか現れる大切な女性のために温めていた演出なんだ。まだ俺の「ONE」に出会ってないんだけどね(笑)。あのアイディアは、その内、全米中の男が真似しだすな(笑)

 

■R. Kellyのプロデュースの他、共演も果たされてますよね。2大伊達男がうまい具合に融合している気がしました。

このアルバムは、R. KellyがJay-Zとリリースしたダブルアルバム同様にクォリティの高い作品だと自信があるよ。俺はR. Kellyを尊敬しているし、一緒に仕事ができて光栄だね。

 

■曲順もすごく考えられている感じがしました。一つの物語になっているような・・・

曲のオーダーも俺が全部考えたんだ。というか、コンセプト、ジャケ写・・・全て俺のアイディアだ。アルバムのThank Youリストを見てもらえばわかるけど、俺は、このアルバムに携わった一人一人にシャウトアウトしてる。それくらいスペシャルな作品なんだよ。制作費の半分は俺が個人的に負担しているし、とにかく自分の価値をわかっているからそれができたんだよ。誰もBlack-Tyとしての俺を止めることはできないんだ。俺のラップを聞いたアーティストは、駆け引きなしで正直な意見を言ってくれた。そのほとんどがポジティブなモノだったんだ。さっきも言ったけど、Hip Hopアーティストたちの反応に、このアルバムの成功を確信したし、それが今後の創作意欲や情熱に変わっているんだよ。Clive Davisとミーティングしたときに、「俺はもう新人じゃない。俺は、R&B/Hip Hopのダブルアルバムをリリースしたいんだ。それが叶わないなら、音楽は止める」って言ってやったんだよ。

 

■そのエピソード、ウェブのニュースで拝見しました。本当だったんですね。

歌うことを辞めるつもりはないよ。でも、俺は子供もいないし、自由の身だ。音楽業界が不況だってことはみんなが知っていることだろ?映画は、3ヶ月程度の拘束で数百万ドル稼げるんだぜ。でも俺は、Will Smithになりたくて演じてるわけじゃないし、タイソン・ベックフォードの名声が欲しくてモデルをやってるわけでもない。俺にとって音楽以外の活動は、音楽に集中するための”サイドビジネス”で、ファンのみんなへの露出の機会として利用しているだけなんだ。みんなは俺を”多才”だとか”マルチタレント”って呼びたがるけど、俺自身は”アーティスト”だとしか思ってないんだ。俺は音楽を愛してる。俺の初恋は音楽だったんだ

 

■音楽に集中するためのサイドビジネスだとは予想外でした。

そうなんだ。たまたま、モデルや俳優業でも、才能に恵まれているだけなんだよ(笑)。もちろん、モデルや俳優は、みんなに与えられたチャンスじゃないから、俺は常に真剣に取り組んでるよ。でも、わかって欲しいのは、俺は何よりも音楽を愛しているってことだ。

 

■最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

日本のみんな、調子はどうよ? いつも暖かいサポートをありがとう。本当に感謝しているよ。このインタビューを通して、俺がどれだけこのアルバムに思い入れがあるかってことを感じてくれたら嬉しいね。シンガーのTyrese同様に、MCとしてのBlack-Tyのサポートもよろしくな。来日できる日を楽しみにしているよ。God Bless You!

 

Interview & Text: sassyism