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■スタジオ全体が赤で統一されていて素敵ですね。赤がお好きなんですか?

赤と黒が好きな色だ

 

■簡単な自己紹介をお願いします。

俺はRed Spydaだ。Hip Hopのプロデューサーで、DJ Whoo KidやG-Unitのプロデュースをしてる。俺がプロデュースしたのは、ほとんどイーストコーストのアーティストだけど、数組サウスのラッパーとも仕事したな!

 

■DJ Whoo KidやG-Unitとはどういった経緯で仕事されているんですか?

最初にNYに引っ越してきたときに、まずはMixtapeシーンで名前を売ろうと思ったんだ。そこでDJ Whoo Kidに出会った。DJ Whoo Kidはエンジニアを探していて、俺は初め”エンジニア”としてDJ Whoo Kidと仕事をし始めたんだ。それからプロデューサーに転身したんだ。

 

■DJ Whoo Kidとは付き合いは結構長いんですか?

俺たちは、色んな人を通して知り合ったんだ。当時は、DJ Whoo Kidも俺も駆け出しの新人だったからな。色んなスタジオでたくさんの人に出会って、その中で互いに必要としていたモノを供給し合えて、そこからの付き合いだ。

 

■ご出身は?

フロリダ州だ!

 

■サウスのHip Hopシーンは非常に盛り上がっているのに、何故NYに?

俺がNYに越してきたのは7年前なんだ。Trick DaddyやTrinaとも仕事していたし、フロリダで俺が出来ることはやり尽くした感があったんだ。サウスの音っていうのも、俺のスタイルとは違っていたしな。フロリダで名前が売れたことだし、次はNYで!って思ったのも自然の流れだろ?

 

■それでは、現在のサウスHip Hopを”プロデューサー”という視点からどうお考えですか?

プロデューサーの視点?そうだなぁ。ビートに関していえるのは、サウスのビートはとてもシンプルだってことかな。創り込んだ感じじゃなく、どちらかというと”バウンス”って呼んだ方がシックリくる。サウスに関しては、好きなアーティストやビートはすごく限られてくるな。ChamillionaireやMike Jonesの作品は好きだけど、その他の大半は興味ナシ(笑)

 

■影響を受けたアーティストはいますか?

色んなアーティストに影響を受けていると思うよ。楽曲そのものとしては、N.W.A.、Public Enemy、Geto Boys・・・俺のトラックは、西海岸のアーティストの影響が強いと思う。それくらいかな。

 

■プロデュースのオファーを受ける際の判断基準は何ですか? アーティスト?それともお金?

もちろんアーティストによるよ。あとは、プロジェクトにかける熱意や真剣度も参考にするね。大体10人中9人は新人アーティストのプロデュースを手掛けることが多いかな。新人アーティストは、とにかく大変だけど、展開に幅が出せるから、プロデュースのし甲斐があるんだ。既に名前のあるアーティストだと、既存のイメージが邪魔をして冒険し難いからな。基本的には、俺が選んで決めてるよ。好きなのも嫌いなのもな。

 

■膨大な量のトラックのストックがありますよね? 処理というか、どう配分していくのですか?

ストックはすごい数だと思うよ。ストックしたトラックをきちんと整理しておくシステムがあるんだ。俺はMixtapeシーンでまず名前が売れたから、人が俺の作品を検索したがるんだ。でも、俺はみんなにオープンなわけじゃない。例えば、The Neptunes。彼らは、アイドルだろうと何だろうと、プロデュースを引き受けるだろ? 彼らにとっては、名前や作品を世に出す最良のチャンスだよな。でも彼らのプロデュースした作品は、9割方、アーティストよりも目立ってしまっていると思わないか? 俺は、俺からは予想も出来ないアーティスト、例えばAmerieもプロデュースしているんだ。俺はどちらかというと、プロデューサーをプロデュースするっていう立ち居地の方が正しいのかもな(笑)。俺は、スポットライトには興味が無いんだよ。だから、今も顔を隠してインタビューに答えてるだろ(笑)?

 

■ちなみに、期待の新人はいますか?

今ちょうど一緒に仕事をしているFreddie Gibbsってヤツはクールだな。あとは、ノースキャロライナ出身のMOS(Murder On Site)ってヤツもいい感じだ。新人がたくさん出てきすぎて、認識するのに一苦労だよ。

 

■というと?

今の音楽業界は、機械や技術が発達しすぎて、誰でもアーティストになれてしまう時代なんだ。だから必然的に新人の数も倍増するってコト。いちいちチェックしてられないよな。Mixtapeの種類なんて半端じゃないぜ!

 

■新人アーティストからMixtapeを渡されることも多いと思いますが、実際聴きますか?

全然。全く聴かないね。冗談抜きで。ただ、DJ Kayslay、DJ Clue、DJ Whoo KidのMixtapeでフィーチャーされているアーティストは聴くようにしてるよ。新たな才能を見出すのが彼らの仕事だし、俺は彼らの意見を信用しているからな。今、日の目を見ているアーティストの後ろ盾をしているのは、まぎれもなく彼らだからな。個人的に俺にMixtapeを渡しにくるヤツらのは、ほとんど聴いたことないね。誰かの紹介とかなら別だけどな。

 

■トラックやビートを創るモチベーションを保つ秘訣は?

単純に音楽を愛しているからだよ。俺にとって音楽は趣味なんだ。趣味で金が稼げている現状は、本当に恵まれていると思うよ!

 

■ラッパーやグラフィティアーティストになろうと思ったことは?

一度も無いね(笑)

 

■現在取り組んでいるプロジェクトを教えてください。

今は・・・。あ、つい最近、日本のアーティストのプロデュースを終えたばかりなんだ。JamosaっていうR&Bのシンガーだよ。DJ Whoo Kidと一緒に手掛けたんだけど、「So Addicted」っていうシングルはかなりホットな出来だと思うから、是非チェックしてくれ。あとは、DJ Whoo Kidと一緒に”アントラージ”っていうグループのプロデュースもしてる。その内、嫌でも”アントラージ”の名前を聞くようになると思うぜ!

 

■これまでプロデュースしてきた作品で、最も満足している作品は?

俺の仕事に対して正当な評価をしてくれていれば、俺的には満足だ。わかり易く言えば、電話が鳴り始めたら、良い予兆ってコトかな。例えば、50 Centから電話掛かってきたときは、良い仕事をしたって思えたよ。50 Centは文句ナシにトップアーティストだろ? 成功しているアーティストが絡んできたら、俺も成功している、または、し始めた証拠なんだ。だから、電話が鳴り止まないのを願う日々だな(笑)

 

■来日のご予定は?

来年あたりに行けるとベストだよな。

 

■そうですね。是非。

多分、DJ Whoo Kidと一緒に来日すると思うよ。ここ数年、彼は俺を日本に連れて行こうと一生懸命動いてくれているみたいだしな!

 

■DJ Whoo Kidは2004年に来日ショーケースをされてますよね?

そうそう。2004年に来日してるよな。でも、あいつ結構日本でPartyしてるみたいだぜ(笑)

 

■音楽業界での就職を希望していたり、プロデューサー希望の日本のファンにメッセージを!

音楽業界で仕事をしたいと思ってるなら、関わっていく人間を見極めることだ。片足突っ込んでるなら、とにかく“楽しむ”ことだな。他人に批判されないように、自分のことに集中すること。あとは、貯金もきちんとしろよ。ちぇいちぇーい!

 

Interview & Text: sassyism