■今までプロデュースを手がけたアーティストを教えてください。
Cam’ron、Juelz Santana、Jim Jones、Ludacris、Lil Wayne、Lil Flip、Fat Joe、I-20、Brooke Valentine、Papoose・・・みんなが思い浮かべられるアーティストは、ほとんどプロデュース済みだ。ほとんどな!
■来日されるとお聞きしたのですが、いつ頃になりそうですか?
俺たちをマネージメントしてるクルーと行くつもりなんだけど、書類の申請に手間取っててさ。俺はアメリカ国籍じゃなくて、ジャマイカ国籍だから、色いろと時間が掛かってるんだ。日本のことは色いろと聞いているし(笑)、日本の雑誌を読んでみて、日本がいかにクールかって解ってるつもりだよ。とにかくその内、日本には必ず行くから待ってろよ。
■ジャマイカ国籍なんですね。レゲエの音に行かなかったのですか?
ジャマイカ国籍といっても、ジャマイカで生まれて3歳までしか住んでいないんだ。でも、俺の創る音を聴いてもらえばレゲエをサンプリングしていたり、レゲエっぽい音を効果的に使って”レゲエフレイヴァ-”を散りばめているのが解ると思うよ。例えば、Dipset「Gangsta Music」、Juelz Santana「Shot This」、Lil Flip「Ghetto」、Fat Joe「Oh Yeah」なんかは、レゲエのサンプリングを駆使している作品だろ。俺自身のファーストシングル「Revolution」でもレゲエのサンプリングをしているしな。俺の創る音は、ルーツである”レゲエ”を大事にしている”Hip Hop”なんだ。
■ご自身のアルバムはいつリリース予定ですか?
来年の4月かな。タイトルを『April Fools Day』にする予定だから、理にかなっているだろ? 4月にリリースが間に合わなかったら、タイトルを変更するだろうけどな。
■どんな内容になりそうですか?
アルバム全体を通して”リアル”なことしか詰まってないって感じかな。「殺す」とか「撃つ」とかそんな下らない内容じゃなくて、俺自身のことをライムしているんだ。ジャマイカ人の家庭に生まれて育って、今の自分の地位に上り詰めるまでの過程をね。俺は、人を殺したり、誰かを撃ったり、プッシャーもしたことなんてない。俺は、音楽を通して俺の人生を表現したまでだよ。色んなアーティストが参加してくれたクールなアルバムだから、是非チェックしてほしいね。
■あなたにとってHip Hopの定義とは何ですか?
古き良き時代のHip Hop?それとも今のHip Hopが意味すること?大きな違いがあるからな!
■あなた自身が思う定義を教えてください。
そうだな。正直なところ、Hip Hop自体はもう存在しなくなってしまったと思うんだ。Hip Hopが本来のHip Hopの意味を持っていたのは、多分1994~1995年くらいまでなんじゃないかな。『Ready To Die』がリリースされた後くらいから、Hip Hopの”在り方”が少しずつ変化してきたと思うね。Hip Hopに携わる人間の興味の対象が”良質な音楽”から”いかに金を稼ぐか”、”高い車に乗るか”、”どれだけデカイ家に住むか”に移行していると思う。俺がHip Hopを聴き始めた頃っていうのは、KRS-One、Rakim、M.C. Shanがいて、彼らは”音楽”が生み出す”芸術性”を大事にしていたと思う。それに対して今は、日銭を稼ぐ為にレコードを出し、着メロで儲けて引退……って感じだろ。”音楽”自体のクオリティに重きを置いていないんだよな。俺にとってHip Hopは”良質な音楽”であり、残念なことにそのほとんどはもう存在しないんだ。
■最後にプロデューサーを目指していたり、音楽業界での就職を目指している人へアドヴァイスをお願いします。
普通の仕事を探した方が身の為だ(笑)。音楽業界で仕事をしたいと思うなら、なぜ音楽業界なのか、目的をしっかり持つことだ。PVや雑誌で見る業界と、現実は対極にあると考えた方がいいな。さっき、昔ヒットを飛ばしたアーティストを偶然見かけたんだけど、昔の”輝き”は皆無で正直認識できなかったな。一体何があったんだ?って感じだよ。でも現実はそんなもんなんだ。音楽業界での成功を狙っている人間なんて星の数ほどいて、でも実際に金を稼いでいるやつらなんて、その2~3%にも満たない。常にバックアッププランを持っていることは大事だな。”保険”を考えすぎるのもよくないが、カードはたくさん持っていた方が身の為だ。業界の大半のヤツらは、稼いだ金を宝石や車に投資しちまう。で、あっという間に貧乏に逆戻りだ。金を無駄な宝石に費やすのは止めるんだな。って、俺もジュエリー買っちゃっうんだけどな(笑)
Interview & Text: sassyism